「オイ」
「なんですかィ」
「…何喰ってんだてめぇ」
「見て分かんないんですかィ。ばっかでー」
「分かるわァァ!アイスだろ!?どっからどーみてもアイスだろ!?」
「なんだ分かってるじゃねーかィ」
「問題は今は勤務時間真っ只中だってこったろーが馬鹿野郎ォォ!!」
『アイスキャンデー』 CAST:Okita,Hizikata.
「あんまり怒鳴ってばっかだと脳の血管切れちゃいますぜィ土方さん」
「誰の所為だ誰の!」
「誰の所為ですかねィ。」
「……。」
もういい・とばかりに軽く天を仰いで、それから今思いついたように沖田の手の中のそれを凝視する。白っぽい木の棒に刺さったそれは、淡くて涼しげな水色だ。
「…なに味だ、そりゃ」
「見て分かりやせんかィ。ソーダ味でさァ」
美味いですぜィと言いつつ、無表情のままぺろぺろ舐める。
「…ちっとも美味そうに見えねぇぞ」
「そうですかィ?」
「お前の表情がな」
「美味くなかったら俺ァ一舐めしてすぐ山崎か土方さんにでもやっちまいまさァ」
「……そうかい」
しかしガキくせぇのが好きなんだな・と言ってみる。
「ソーダ味って、下町のガキが駄菓子屋で買うようなやつだろ。」
「そうですねィ。確かにガキの喰いもんでさァ。」
そこで初めて、やんわりと目だけ笑う。
「でも俺、ガキですかんねィ。」
だからこれでちょうど良いんでさァ。そう言って、少し溶けて柔らかくなった先っちょにかぷりと噛み付いた。ほろり・崩れて口の中。人工的な甘さが解けてゆく。
「…ガキ、ねぇ」
「ガキでしょう?」
「…ああ。……違い無ぇ」
確かに、お前はガキだ。ほかに比べるものも無いほど純粋でだけどその純粋さは真っ白というより真っ黒なのだ。全てを侵食しながらそれを気取らせない、空気のように透き通って柔らかい黒。
「…土方さん」
「あ?」
「そんなじっとこっち見て、“ハイあーん”とかやって欲しいんですかィ?」
「ん・な・わ・け・ねーだろぉがァァ!」
ツッコミの勢いそのまま、繰り出された鋭い蹴りを、沖田は涼しい顔でなんなく避ける。
強い日差しを浴びて、空色の甘い滴がぽたりと一滴、地に垂れた。
-----------End.
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
唐突に沖田&土方…ええそうですとも「×」ではありませんよ断じて!(え)
カップルでないならむしろ男ばっかって好きなんです…あれですよ、男同士って何事もさっぱりしてるイメージが先入観で(笑) あけっぴろげな友情って良いなあー。
でも沖田と土方の間には友情は無いと思うけど(オイ)